カネミ油症被害、次世代調査へ 研究班が国の助成受け 患者の子・孫の救済に期待

  • 2021年1月12日
  • 2021年1月12日
  • PCB関連

 1968年に発覚した国内最大の食品公害「カネミ油症」について、医師らでつくる全国油症治療研究班(事務局・九州大)が、認定患者の子を対象に健康実態調査を実施する方針であることが、厚生労働省への取材で判明した。公的機関が次世代に着目した調査をするのは初めてで、支援団体などからは未認定者救済へ期待の声が出ている。

 研究班は国の助成を受けて油症の診断や治療法の研究などに取り組み、油症かどうかの認定基準の策定にも関わっている。厚労省によると次世代調査は時期や規模、手法などを検討中で1月中に患者団体に調査方針を説明する予定という。偏見や差別を恐れ被害を伏せる人もいる中で、本人からどのように同意を得るかなどが課題になる。

 カネミ油症の認定患者は2020年3月時点で累計2345人いる。12年に被害者救済法が成立し、発生時に認定患者と同居していた家族も一定の症状があれば患者とみなされるようになったが、1969年以降に生まれた子や孫の救済は進んでいない。吹き出物や倦怠(けんたい)感など患者と共通の症状を訴える人でも、健康被害の主因であるダイオキシン類の血中濃度を重視した基準を満たさず患者として認められないケースが多く、患者団体などからは基準の見直しを求める声が上がっている。

 次世代の健康被害を巡っては民間団体「カネミ油症被害者支援センター(YSC)」が2020年、患者の子や孫49人を対象に調査を実施。「一般成人と比べ、健康被害の自覚症状が高い割合で発生している」との結果をまとめ、国に次世代調査を要望していた。YSCの伊勢一郎事務局長は「国の研究費を受けている研究班が次世代の調査に乗り出すことを評価したい。具体的な救済につながるよう望んでいる」と期待を寄せた。【青木絵美】

カネミ油症

 カネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を摂取した人たちが皮膚の吹き出物や倦怠(けんたい)感などを訴えた国内最大の食品公害。1968年10月の発覚から69年7月までに西日本一帯の1万4320人が健康被害を訴えた。脱臭工程で熱媒体として使った鐘淵化学工業(現・カネカ)製のポリ塩化ビフェニール(PCB)が配管の破損で油に混入。PCBの加熱で生成された猛毒のダイオキシン類が主な原因とされる。

(2021年1月11日 毎日新聞より)

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