油症患者支援道半ば PCB処理費倍増 救済拡充が課題

  • 2020年1月13日
  • 2020年1月14日
  • PCB関連

カネミ油症事件をきっかけに規制が始まったポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物処理の費用や時間が当初計画よりも大きく膨らむ中、健康被害に苦しむ油症患者への支援は道半ばだ。被害者側は「2世」への救済拡充を強く求め、政府の消極的な姿勢には不満が根強い。

油症事件では、PCB類が混入した食用米ぬか油の出荷先の福岡、長崎両県を中心に約1万4千人が被害を届け、患者として認定されたのは約2300人にとどまる。被害は母乳などを通じて次世代にも及び、被害者側は「全員救済」を求めて国などに認定基準の再考を迫っている。

救済責任は原因企業のカネミ倉庫(北九州市)にある。被害者と国との3者協議を定期的に開くが、同社は救済の拡充について「これ以上の負担は難しい」などと否定的だ。

厚生労働省が被害者支援に支出したのは約91億円で、この中には研究費約58億円など被害者に支払われない費用も多く含まれる。

中小企業の負担軽減を目的としたPCB廃棄物処理基金には、法的な負担義務がないPCB製造業者も自主的に資金を拠出するが約3億4千万円にとどまる。民主党政権時代には基金の一部を患者支援に使えないか検討し、基金を所管する環境省が「患者支援は基金の目的とは違う」と反発して立ち消えとなった経緯がある。

高崎経済大の宇田和子准教授(環境社会学)は「幅広い救済のためには油症患者の補償に基金を活用するか、国、自治体、企業などが広く負担する新たな仕組みを設ける必要があるのではないか」と指摘する。 (竹次稔、米村勇飛)

【ワードBOX】ポリ塩化ビフェニール(PCB)

電気機器の絶縁油、熱媒体など多くの用途に使われた合成化学物質。1968年、食用米ぬか油を製造中にPCB類が混入して健康被害をもたらしたカネミ油症事件をきっかけに、74年に国内での製造や新たな使用を禁止した。国内使用量は72年までに約5万4千トン。PCBが低濃度含まれる廃棄物を含め、政府は国際条約に基づいて2028年までの全廃を目指す。油症の主要な原因物質は関連のダイオキシン類、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)と判明した。

2020年1月13日 西日本新聞より

 

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