昭和30~40年代に西日本一帯で起きた食品公害・カネミ油症をめぐり、厚生労働省の全国油症治療研究班は、患者の子供や孫への影響を本格的に調査する方針を明らかにした。
研究班の古江増隆班長(九州大大学院教授)が、今月19日に福岡市で開いた患者団体との会合で表明した。これまでも子供にも症状が出たと訴える声は多く、患者団体が健康調査を要望していた。
調査は子供らの診断書を継続的に収集し、データを蓄積する方法を検討している。親の症状との関連性などが特定できれば、将来的に認定基準の見直しにつながる可能性もある。
ただ、家族に油症を隠している患者もいることから、調査への同意が得られないケースも予想される。
カネミ油症は、カネミ倉庫(北九州市)製造の食用米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類が混入し、油を使った料理を食べた人々が全身の吹き出物や内臓疾患などの症状を訴えた。