24時間風呂の水質検査
家庭用循環式24時間風呂の水質検査
「24時間風呂」は、風呂水の入れ替えの手間を要さず、再加温の必要なく随時入浴が可能である点をセールスポイントとして販売台数が伸張してきています。しかし、この「24時間風呂」を設置した浴槽水中においてレジオネラ属菌(感染時の主要症状は肺炎等で重症者は致死率が高い。)の高いレベルでの繁殖が高率で観察される事例が学会等で報告されています。
また、その他の雑菌によると思われる細菌感染等のクレームが数件、各地の消費生活センター等に寄せられております。
さらに、「24時間風呂」に起因する事例ではありませんが、米国において、クルージング船の循環式渦流浴装置の湯が感染源となってレジオネラ肺炎が集団発生した例や、フランスのスパーの職員に、レジオネラ属菌の集団感染の事例等があります。「24時間風呂」については、現時点では、これを感染源とするレジオネラ肺炎報告事例は報告されておりませんが、長崎大学の調査では、細菌性肺炎の死亡者の22%がレジオネラ属菌であったこと等を報告しております。
以上の観点より、ご家庭で24時間風呂をご利用のお客様は、定期的な水質検査の実施を行い、よりよい快適な入浴環境の整備をお勧めいたします。
浴槽水水質基準(参考:公衆浴場における浴槽水の水質検査)
検査項目 | 水質基準 | 検査頻度 |
---|---|---|
濁度 | 5度以下 | ・循環ろ過装置を使用していない浴槽水:年1回以上
・毎日完全換水している循環浴槽水:年1回以上 ・毎日完全換水しない循環浴槽水で、塩素消毒を行っている場合:年2回以上 ・毎日換水しない循環浴槽水で、塩素消毒を行っていない場合 |
過マンガン酸カリウム消費量 | 25mg/L以下 | |
大腸菌郡数 | 1個/ml以下 | |
レジオネラ属菌 | 検出されないこと(10cuf/100ml 未満) |
■レジオネラ属菌とは?
レジオネラ属菌は土壌中に生息していますが、自然界では弱い存在です。しかし、空調の冷却塔や浴槽水、公園の修景水などの循環利用する水環境で、20度から45度程度の水温のもとで最も繁殖します。このレジオネラ属菌に汚染された水の飛沫を、人が吸入することにより、レジオネラ症に感染します。
主な症状は肺炎(レジオネラ肺炎)で、1週間後の潜伏期の後に、悪寒、高熱、全身倦怠感などが起こり、胸痛、呼吸困難などの呼吸器症状を伴い、重篤な場合、死に至ります。かかりやすい人は、高齢者や入院患者など、抵抗力の弱い人です。
■レジオネラ属菌の発生を防ぐには?
浴槽水は、温かく栄養分があるので、浴槽や循環ろ過装置の内部及び配管に、ぬるぬるした膜ができます。これを、生物膜(バイオフィルム)といいます。この生物膜の中は、レジオネラ属菌が寄生するアメーバなどの原生動物にとって繁殖しやすい環境です。生物膜の中で増えたレジオネラ属菌は、浴槽の中に流れ込んで人に感染します。生物膜を除去せずに(浴槽やろ過装置の洗浄が不十分なまま)浴槽水に塩素だけを添加しても、生物膜の中にいるレジオネラ属菌には効きません。
従って、浴槽のレジオネラ対策は、次の2点がポイントです。
- 浴槽、循環ろ過装置及び配管を徹底洗浄、消毒する。
- 再び生物膜が形成されないよう、水質の管理を徹底する。